【 Nikon Z6Ⅱ 】ニコンで動画は無理なのか。
こんにちは。ハヤトです。
先日、vookという動画制作に関する情報サイトのキャンペーンで、モニターとして1ヶ月 Nikon Z6Ⅱ をお借りすることができました。
何を隠そう、僕自身はNikon党。
これまで、超望遠デジカメも、初めて手にした一眼レフもNikonを選んできました。
ただ、今やミラーレスカメラはSONYの時代。動画クリエイターが紹介するのは大抵SONY…街で見かけるカメラマンたちの手元にはSONYの白文字…。
Nikon愛の深かった僕も、
やっぱり動画撮るならSONYかなぁ…。
と気がつけば、SONY Eマウントのレンズ構成を想像する日々。。。
そんな時にめぐってきた、このチャンス。
今回の記事では、Nikon Z6IIを使って、Nikonのミラーレス機ではどんな映像が撮れるのか、動画撮るなら他メーカーを選ぶしかないのか、をお話ししていきます。
- Nikonミラーレス機の動画性能について知りたい方
- Nikonが好きだけど、他メーカーに乗り換えを考えている方
- これから動画撮影を始めたいけどどのメーカーが良いかわからない方
にはぜひ読んでいただきたいです。
Nikonで動画やるならコレ! Z6Ⅱ
まず最初に Z6Ⅱ というカメラについてお話しをしておきたいと思います。
Z6Ⅱは2020年11月発売のフルサイズミラーレス機。前の世代のZ6が2018年発売だったことを考えると、この次の世代は2022年なのではと予測されています。
有効画素数は2,450万画素。同時期発売のZ7Ⅱが4,575万画素に対して画素数が少なく、暗いところなど高感度で撮影しても比較的ノイズが出にくい、動画撮影向きのカメラと言えると思います。
動画撮影は、フルHDなら120Pまで、4Kなら60Pまで撮影可能。ただ、Z6Ⅱの場合、4K60Pで撮影する時はAPS-Cサイズにクロップされてしまいます。(Z7Ⅱはフルサイズの93%クロップ)
外部収録ならRAW撮影も可能で、このZ6Ⅱの凄いところは編集しやすく、データ容量の軽いBlackmagic RAWに対応しているところ。
今回僕はRAW撮影まで行っていないのですが、B-RAWに対応しているということは本格的な動画撮影機として導入することもできるカメラとも言えます。
ちなみにこのRAW撮影で4Kを選択する場合は、Z7ⅡだとAPS-Cサイズにクロップされてしまうんだとか。
内部収録とRAW撮影時でクロップされるのが逆、というのが少し判断を難しくするところですよね。
ただ、2,450万画素もあれば大抵の写真撮影でも問題ない画素数ですし、動画をメインとするならZ6Ⅱを選択するので間違いはないかと思います。
価格としてもZ6Ⅱは23万円程度、Z7Ⅱは33万円程度と10万円近い差があるので、Z6Ⅱを選んで、レンズに投資するというのが良い気がします。(Nikonのレンズはお安くないので…)
ちなみに前世代のZ6と違うのは、AF性能,連写性能,4K60P対応などなど。
高いAF性能は動画を撮る際大きな助けになりますし、4Kでスローモーションを使える60Pはあった方が表現の幅が広がりますよね。
現時点では15万円程度まで下がっているZ6ですが、Z6Ⅱを選んでおいた方が無難かと思います。
もはやチートレンズ?大三元標準域24-70mm / f2.8
続いて、今回お借りしたレンズに関してもご紹介します。
今回お借りしたのは大三元レンズと言われる、Nikon Zマウントを代表するレンズのうち、標準域の24-70mm。(ちなみに大三元レンズは各メーカーを代表する標準、望遠、広角のことを言います。)
f値は最低2.8固定。24mmで撮影しても、70mmまでズームしてもf2.8で撮影することができます。
もちろん撮影したいものによりますが、24mmから70mmあれば大抵のものは撮影できます。
動画撮影でいえば、広角側でダイナミックな風景の映像を撮影したり、望遠側で印象的な寄りのカットを撮影したり。ほぼコレ一本持っておけば、かなり多くの表現をカバーできると思います。
しかもf2.8固定。明るいことはもちろん、ボケ感も抜群です。とても柔らかく、嫌味がないボケ方はさすがだなと感じさせられます。
この1ヶ月使ったことで、僕自身はすっかりこの24-70mm / f2.8の虜になってしまいましたが、このレンズのネックな部分を挙げるとすれば値段と重さです。
重さはなんと805g。満タンの500mlペットボトルよりもさらに重いレンズです。
個人的にはvlog撮影など出掛け先で使うシーンが多いので、少し荷物になってしまうなぁという感じは否めません。
さらに値段も現時点で25万円ほど。そう、Z6Ⅱ本体と同じぐらいするレンズです。
カメラのレンズは一部を除いて、高価なものが多いのも事実です。そのなかでも、メーカーご自慢の大三元レンズとなれば….。まあ仕方がないところですかね。
よく”オシャレは我慢”と言いますが、それと同じだと思いました。写りはもう最高!でも、重いし、高い。
そんなレンズだと言えます。
とにかく、もうこれ以外のレンズはいらないんじゃないか?とすら思わせるレンズであることは間違いありません。
絶望的?Nikonのオートフォーカス性能。
さて、ここからは本題のレビューをしていきたいと思います。
今回の記事では、個人的に不安だった部分を中心にレビューしていきます。
まず1つ目。Nikon機に対しての不安といえば、もうこれですよね。
オートフォーカス(AF)性能。
冒頭で今やSONYの時代、というお話しをしましたが、そのSONYの強さの大きな要因がこのオートフォーカス性能だと僕は思います。
“爆速オートフォーカス“と呼ばれるSONYのオートフォーカスは多くのレビュー動画でもトピックスとして扱われていますし、今後動画をやりたいと思う人にとっては大きなアドバンテージになりますよね。
動画はマニュアルフォーカスだ!という本格派であれば、いくらオートフォーカス性能が悪くても問題ないかもしれませんが、僕含めてそうではないクリエイターは多いのではないでしょうか。
特にvlog撮影などYoutubeにアップする動画をわざわざマニュアルフォーカスで撮影している方はそう多くはないと思います。
撮りたいものにすぐにピントが合うこと、そのピントが外れないこと、動きが速いものもしっかり捉えてくれること。それがどれだけ大事なことか動画を撮影したことがある方は感じているのではないでしょうか。
そんな大切なオートフォーカス性能ですが、Nikonのオートフォーカス性能はというと…
多くのレビューで酷評されています(笑)
迷いがある、瞳を捉えきれない、逆光が苦手…。
Nikon好きとして多くのレビュー動画や記事を見てきましたが、写りは綺麗だけど…と言われてしまっている大半の理由がここにあったと思います。
果たしてそうなのか。
結論を言うと、
100点満点ではない。ただし、十分改善されている。
というのが僕の結論です。
いくつかの検証をしてみたのですが、まずはこちらの動画。
(ちなみに今回Z6Ⅱをお借りしている間にvlog撮影を行い、何本かYoutubeにアップしたので、対象の動画は最後にご紹介します。)
この動画では拡大して見せたいものをカメラ前に出してピントを合わせるという部分をvlogから抜き出してまとめてみました。
Youtubeではよく見かけるこの動作ですが、これに対しては正確に、そしてかなり速くピントを合わせることができていると思います。
迷いと思われる部分もないですよね。
続いては、うちのネコに協力してもらった動画です。
こちらでは動物瞳AFを使っているのですが、瞳がこちら側をむいている時はほぼ外していないように思います。後半のスローモーションでも近づいてくる猫にピントが合い続けているのがお分かりいただけるはずです。
もちろん瞳で合わせているので顔が向こうを向いている時は外れていたりするのですが、ここはAF感度をもう少し鈍くチューニングする、もしくはAFモードを変更すれば改善できるはずです。
今回使用してみて、このAF性能の高さは良い意味で驚きでした。
ここまでしっかり合わせてくれるのかと。
先ほどもお話ししたように、かなり多くのレビューでNikonのAF性能はダメ出しされていたので、正直期待していない部分がありました。
しかし、これほどまでに使えるのであれば、全然問題はないと思います。
たしかに今回のモニター期間でも、近づいてくる被写体や、逆行時の撮影など、稀に合わないなと感じるところはありましたが、ストレスに感じるほどではありません。
“爆速”と呼ばれる域には達していないかもしれませんが、十分早く、意図通りにピントを合わせることができますし、AF性能を理由にしてNikon機を選ばないのは勿体ない気がします。
ちなみにAF速度は10段階、AF感度は7段階で変更可能です。デフォルトの設定はどちらも中央の値に設定されているので、一部のレビューはここをいじり忘れてしまっているのでは?と思ったり…。
こちらがAF速度違いの動画
最も速い高速と最も遅い低速で比較をしてみました。
今回のモニター期間中はvlog撮影がメインということで、速度は最速、AF感度は敏感でほとんどの撮影をしていました。
内部収録なら10bitは撮影できない。
個人的にはこれもかなり気がかりなところでした。
内部収録、つまりカメラ本体に映像を保存する場合、撮影できるのは8bitまで。10bitの映像を収録したい場合、外部レコーダーをつなぐ必要があります。
現在、ミラーレス機で圧倒的なTOPに君臨しているSONYのα7s IIIは内部収録で10bitの撮影が可能です。
ここで、8bitや10bitについて何のことか分からないという方のために説明しておくと、簡単にいえば色の多さです。
8bitが2の8乗で256色×R,G,Bの3色で約1,600万色。10bitが2の10乗で1,024色×R,G,Bの3色で約10億色。
数字で見るとかなり差が大きく感じますよね。
10bitの方が色情報が多い為、細かい色味の違いを出すことができたり、編集に耐性があると言われています。色味の違いがあることによって映像自体に立体感も生まれます。
逆に8bitの場合、色情報が多くない為、強い編集を加えてしまうと階調が崩れてしまったり、同系色の部分を繊細に表現することができません。
もちろん8bitの方がデータが軽く、メモリーを圧迫しなかったり、PCへの負担が軽いというメリットもあるのですが、今後動画を本気でやっていきたいと思う方なら10bitを収録できるほうが魅力的に感じますよね。
しかも僕と同じように普段からカメラを持ち歩いてvlogを撮影したり、旅行先での動画を撮りたいとなると、外部モニターを接続して…というのはコンパクトさに欠けて現実的ではなくなってしまいます。
ということで、今回はNikon Z6Ⅱの内部収録映像でどこまでカラーをいじれるのか、どんな色表現ができるのかを検証してみました。
前提として、Z6Ⅱの場合log撮影も外部収録が必要になるため、今回は撮影時の色味(ピクチャーコントロール)をフラットにして、色を入れやすい素材としました。
さらにデフォルトのフラットのままだと、色味が微妙に残ってしまっていた為、後半の撮影ではフラットに微調整(彩度を-3、コントラスト,輪郭強調,明瞭度を-2)を加えています。
いかがでしょうか?
個人的にはここまで綺麗に色が作れて、カラーグレーディングもスムーズに出来てしまうのであれば、正直十分かなと感じました。
前半のデフォルトのまま撮影した素材はやはり色を入れると若干ごちゃつくような気がしますが、後半の微調整後素材はほぼ思い通りの映像にできています。
もちろんこれが10bitだったらどうなんだろう…という気持ちはありますし、リグを組んで撮影できる状況であれば外部収録で10bit撮影したいという気持ちも消えてはいません。
ただ、自分の用途を考えたときに10bit内部収録できないことがどれだけ不利に働くかと考えると、そこまで大きくないように今は感じています。
というのも、この映像だけをみて、ああ8bitだからなぁと思う人はきっとそれほど多くはないはずですし、もしこれを10bitで撮影したとしても満足なのは結局自分だろうなと思うんです。
クライアントワークであれば別ですが、きっとそうなればリグを組んでRAW撮影するはずですよね。
結論、たしかに10bit内部収録は今のNikonミラーレス機に足りない大きな欠点です。
ただ今後このクラスの次世代機で10bit内部収録に対応する可能性は十分ありますし、Z6ⅡやZマウントレンズの絵作りを考えればそれを理由に他メーカーを選択するほどではないなと僕は感じました。
レンズバリエーションの少なさ。高い純正レンズ。
これも今Nikon Zマウントの課題の一つではないかと思います。
長くミラーレスに注力してきたSONYのEマウントと比較して、Nikon Zマウントがリリースされたのは2018年。
ざっと調べただけでも、そのレンズ数の差は一目瞭然。
今後長く付き合うカメラメーカー(レンズマウント)を選ぶのであれば、バリエーションの多さは大切です。したい表現をできるレンズがあるのか、揃えられそうな価格帯なのか、取り回しやすい軽さのものがあるのか。
そして、やはりメーカー(マウント)への信頼も違いますよね。レンズが少ないと、
もしかしたら将来的に撤退してしまうのでは?
と心配するのは僕だけではないはずです。
さらに、サードパーティ製のレンズが多くて選び放題のSONY Eマウントと比較すると、現状Nikon Zマウントはまだまだ純正レンズが主体。
その価格は比較的高く、一通り揃えようと思えば、100万を超える可能性もあります。
レンズ一本でいい!という人であれば特に問題になりませんが、写真や動画を撮り続けていれば少しずつレンズ沼にハマっていくもの…。
ということで、レンズバリエーションの観点からみても、Zマウントを選択することはなかなかハードルが高いかなと思うのが素直なところです。
しかし、です。
お忘れかもしれませんが、Nikonというのはもともと光学メーカーなんです。
レンズこそがNikonの売りで、レンズにこそブランドの技術が集結しているんです。
実際に今回のモニター期間中の勉強会で、Nikonの担当者様が
Nikonの売りはレンズです。その映像の魅力を体験してもらいたい。
とお話しされていました。
つまり、このNikonのレンズなしでは、Nikonのカメラの魅力を発揮しきれないのです。
実際に今回24-70mm/f2.8のレンズを使ってみて、その写りの素晴らしさに何度も感動させられました。
端まで綺麗な解像感、嫌味の全くない自然なボケ、逆光を味方にする耐性、柔らかい光の表現力、肌色の再現度の高さ。
もう良いポイントをあげればキリがありません。
この写りを一度知ってしまえば、もう後には戻れないと思います。
個人的にNikonのカメラは見たままの景色をそのまま映し出してくれると思っていました。余計な味付けがなく、素直なカメラだと。
しかし、今回のモニターを通して感じたのは、単に見たままの景色を再現してくれるだけでなく、そのシャッターを押した瞬間に自分が感じていた思いさえも作品にのせてくれるカメラだということです。
綺麗だと感じてシャッターを切ったのか、楽しいなと思ってシャッターを切ったのか、迷いがありながらシャッターを切ったのか。
動画はもちろん、写真であっても、作品を見ればそこまで思い出せるほどの再現度、絵作りだったのです。
今回使ったのが大三元標準域ということで、マウントを代表するようなレンズだったことは事実です。
しかし、Nikonのレンズというのは例え撒き餌レンズと呼ばれる、安いレンズだったとしても描写力が評価されていることが多いように感じます。
それだけ、光学メーカーとしてやってきた技術があり、そこにプライドがあるのは確かです。
であれば、サードパーティ製の安いレンズを使おうとする理由があるでしょうか?
他メーカーのレンズを凌駕する圧倒的描写力を持った純正レンズを差し置いて、使いたいサードパーティ製レンズなんてあるでしょうか?
ないですよね。
たとえ今後サードパーティ製のレンズが充実してきたとしても、そのレンズで妥協してしまえば、きっと撮影するたびに純正レンズの写りを思い出してしまうことだと思います。
決してお財布には優しくないですが、Nikonのレンズだからこそ映し出せる世界があると今回のモニター期間で感じました。
Nikon Zを持つか、持たないか。で世界が変わる。
ということで、今回はNikon Z6Ⅱのレビューをしてみました。
冒頭でもお話しした通り、今回のモニター期間前は僕自身もSONYに乗り換えるべきなんじゃないかと頭を悩ませていました。
しかし、このモニター期間を通して、そんな悩みは吹き飛びました。
Nikon Zを持つか、持たないか。
それで作り出せる作品が大きく違うと思います。もっと言えば、1人のカメラマンとしての世界すら変わるのではないかと思います。
まだまだミラーレス機の性能自体では他社メーカーに追いついたと言い切れないNikon。Z6Ⅱ自体にも改善して欲しいポイントは正直あります。
しかし、大事なのはスペック表で比較できる数字や、目新しい機能だけじゃないはずです。
そのカメラでどんな世界を映し出せるのか。自分が思う作品作りができるのかどうか。
そういう観点から改めてカメラ選びをしてみれば、このNikon Zはもっと評価されても良いカメラだと感じました。
スペック表の差が縮まりきるのは、もうすでに時間の問題。
今からZマウントを選んでおくことは今後を考えても賢い選択になるのではないでしょうか。僕自身は結婚式が終わったらZ6ⅡでNikon Zデビューしようと思っています。
ではでは。
【Z6Ⅱで撮影したvlog】
【結婚式アイテム】こだわりの招待状づくり。手作りゲストカードと外注キットでプチ節約!
室内で撮影した映像です。ピクチャーコントロールをデフォルトのままのフラットで撮影しています。
【逗子マリーナ挙式】湘南移住した夫婦の海感じる結婚式まであと2ヶ月。
屋外メインの撮影です。ピクチャーコントロールは微調整してますが、電子手ブレ補正を入れていたので、やや映像が歪む部分あり。電子手ブレ補正はなしでも良さそうです。
【前撮り密着】湘南海沿いリゾート 逗子マリーナでウェディングフォト撮影。
妻の妹に撮影の大半をしてもらいました。手ブレ補正が優秀なので、動画撮影初心者でも問題なさそうです。
屋外メインの撮影です。ミニ三脚を使って自撮りをしてみました。画面がこちらを向くバリアングルではないので、やや撮影しづらさはありますが、画角さえ気をつければ撮れなくはなさそうです。
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